アルキュオネー


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アルキュオネー古希: Ἀλκυόνη, Alkyonē, ラテン語: Alcyone) は、ギリシア神話の女性である。同名の女性が複数知られており、有名なものでは、

『アルキュオネー』 1915年、H. J. ドレイパー画。海岸で夫を捜している。頭上を飛ぶのは2羽のカワセミ

がおり、あまり有名でないものにステネロスの娘、エレペーノールの母がいる。また『イーリアス』によれば、メレアグロスの妻クレオパトラーはアルキュオネーのあだ名で呼ばれたという[1]

アイオロスの娘

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この女性はアイオロスとエナレテーの娘で、クレーテウスシーシュポスアタマースサルモーネウスデーイオーンマグネースペリエーレースカナケーペイシディケーカリュケーペリメーデーと兄弟[2]。一説にアイオロスとアイギアレイアの娘[3]

ケーユクス明けの明星ヘオースポロスの子)の妻[4][5]

この夫婦は傲慢さからお互いをゼウスヘーラーにたとえた。そのためゼウスはケーユクスをカツオドリに、アルキュオネーをカワセミに変えたという[4]

オウィディウスによるとアルキュオネーとケーユクスは大変仲の良い夫婦であったが、ケーユクスは神託伺いのために航海に出て、嵐に遭い、海で死んだ。夫の死をで知ったアルキュオネーが海岸に行くと、海に1体の死体が漂っていた。アルキュオネーはそれが夫であると悟り、夫のもとに行こうとしていつの間にか鳥になっていた。そして夫のもとに飛んで行くとケーユクスもまた鳥になった。神々によって鳥に変えられたのであり、二人は鳥となった後も仲睦まじく暮らした。

なお、オウィディウスではアルキュオネーの父アイオロスは風神アイオロスと同一視されており、自分の子孫であるカワセミが冬、海上でを孵す7日間だけ風を閉じ込めて海が荒れないようにすると述べている[5]

系図

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アイオロスヘーオスポロス
アルキュオネーケーユクスダイダリオーン
ヘルメースキオネーアポローン
アウトリュコスピラムモーンアルギオペー
アイシモスラーエルテースアンティクレイアアイソーンポリュメーデータミュリス
シノーンオデュッセウスクティメネーイアーソーンプロマコス

アルキュオネーが登場する作品

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アトラースの娘

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この女性はプレイアデスの1人で、アトラースとプレーイオネーの娘、マイアターユゲテーステロペーエレクトラケライノーメロペーと姉妹。アルキュオネーは海神ポセイドーンから愛され、アイトゥーサ、ヒュリエウスヒュペレーノールを生んだ。子供たちのうち、アイトゥーサはアポローンとの間にエレウテールを生み、ヒュリエウスはニュムペーのクロニエーとの間にニュクテウスリュコスをもうけた[6]

パウサニアースによると、アルキュオネーとポセイドーンの子はヒュペレースとアンタースである。2人はトロイゼーンの古い王で、ヒュペレイア市とアンテイア市を創建した[7]。アンタースはボイオーティア地方のアンテドーン市の王だったという説も述べている[8]。さらにヒュギーヌスはエポーペウス、ベーロス、アクトールの名前を挙げている[9]

なお、10世紀頃の『スーダ』はトラーキア出身の音楽家オルペウスをアルキュオネー(すなわちアトラース)の子孫と伝えている[10]

その他のアルキュオネー

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脚注

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  1. ^ 『イーリアス』9巻。
  2. ^ アポロドーロス、1巻7・3。
  3. ^ ヒュギーヌス、65話。
  4. ^ a b アポロドーロス、1巻7・4。
  5. ^ a b オウィディウス『変身物語』11巻。
  6. ^ アポロドーロス、3巻10・1。
  7. ^ パウサニアス、2巻30・8。
  8. ^ パウサニアス、9巻22・5。
  9. ^ ヒュギーヌス、157話。
  10. ^ 『ソクラテス以前哲学者断片集 第1分冊』p.4。
  11. ^ アポロドーロス、2巻4・5。
  12. ^ シケリアのディオドロス、4巻12・7。
  13. ^ アポロドーロス、摘要(E)3・11。

参考文献

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関連項目

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