エレクトラ (ソポクレス)
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Article Images『エレクトラ』(エーレクトラー、古代ギリシア語: Ἠλέκτρα、ラテン語: Electra)は、古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが書いた悲劇。執筆された年は不明だが、『ピロクテテス』(紀元前409年)や『コロノスのオイディプス』(紀元前401年)と様々な文体上の共通点を有しており、このため後期の作品ではないかと考えられている。
トロイア戦争後のアルゴスの街を舞台とし、エレクトラとその弟オレステースが、母であるクリュタイムネーストラーと継父アイギストスに対して父アガメムノーン殺害の復讐を果たす物語である。
本作の他に同じくミケーネの王アガメムノーンの娘エレクトラを主役にしたエウリピデスの作品と、同じ伝説を扱っているがアガメムノンの息子のオレステースを主役に据えたアイスキュロスの作品がある。
王であるアガメムノーンがトロイア戦争から帰還し、側女としてカッサンドラーを連れて帰ってきた。アガメムノーンの妻クリュタイムネーストラーは夫のいとこであるアイギストスを恋人としており、アガメムノーンを殺害する。クリュタイムネーストラーは戦争がはじまる前にアガメムノーンが娘のイーピゲネイアを神々の命に応じて生け贄として殺したため、その復讐として夫殺しは正当であると信じていた。アガメムノーンとクリュタイムネーストラーの娘エレクトラはまだ小さい弟オレステースを母の手から救い、フォキスのストロフィオスのところに預ける。この芝居は、大人の男性となったオレステースが復讐を行い、王位を要求するつもりで数年後に帰ってくるところからはじまる。
トロイア戦争から帰還したアガメムノンは妻のクリュタイムネストラとその情夫アイギストスによって暗殺された。劇は暗殺されたアガメムノンの墓前にアガメムノンの遺児オレステスが現れるところから始まる。オレステスは従者に、デルフォイの神託所でアポロンから授けられた策を説明し、二人はそれを実行に向かう。
オレステスが退場するのに代わってエレクトラが登場。アガメムノンの死やオレステスの不在を嘆く。そこにエレクトラの妹クリュソテミスや母クリュタイムネストラが現れる。エレクトラと彼女らが口論したのち、使者がオレステスが競技中に事故死したとの知らせを持ってくる。知らせを聞いたクリュタイムネストラやクリュソテミスは勝ち誇りながらその場を去る。残されたエレクトラが嘆いていると、そこにオレステスが現れ、先の知らせがアポロンの策による偽報なのだと説明する。
策を知らされたエレクトラはオレステスと協力してクリュタイムネストラを殺害。さらに偽報を聞いてやってきたアイギストスも捕らえて屋敷の中に引き立てていく。コロスが二人の勝利を称えながら劇は終わる。
オレステースの復讐の物語はギリシア悲劇においては人気のある題材であった。アテーナイの主要な悲劇作家であった3人は全員、この主題を扱った芝居を書いており、現存している。ソポクレスの『エレクトラ』以外の作品としては以下のようなものがある。
L・A・ポストは、ソポクレスの『エレクトラ』は「アクションの強調という点でギリシア悲劇の中でも特異な作品」であったと述べている[1]。
- 『エレクトラ』(Elektra) - フーゴ・フォン・ホーフマンスタールによる1903年の翻案戯曲である。
- 『エレクトラ』(Elektra, Op. 58) - リヒャルト・シュトラウスが作曲し、フーゴ・フォン・ホーフマンスタールが台本を担当した。1909年の一幕もののオペラである。
- 『エレクトラ』(Elektra) - 2010年のマラヤーラム語による映画で、シャーマプラサード(Shyamaprasad)監督・共同脚本による心理ドラマである。
- ^ Post, L.A. (March 2, 1953). “Sophocles, Strategy, and the Electra”. The Classical Weekly (Johns Hopkins University Press) 46: 150–153 30 December 2015閲覧。.
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