木村花


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2020年5月23日未明、SNSにリストカットした血だらけの腕の写真を「愛されたかった人生でした」などのコメントとともに公開。連絡が取れないことを不審に思った母親の響子が江東区の自宅マンションを訪ねたところ、ベッドに心肺停止の状態で倒れているのを発見。午前3時過ぎに病院へ救急搬送されたが、死亡が確認された[20][21][22][23]。22歳没。自宅リビングに手書きの遺書と見られるものが見つかったことや硫化水素を発生させたとみられる薬剤の容器が見つかったことから自殺を図ったと見られている[23][24]

以前から『テラスハウス』出演時の言動などをめぐりSNS上で誹謗中傷を受けていたとされており、2020年3月31日にNetflixで「コスチューム事件」を収めた38話配信以後は批判が激化していた[25]。4月1日に自傷行為を起こして整形外科を受診。同4日に制作会社からフジテレビの制作責任者に木村の状態が報告されたが、その後も4月中旬まで自傷行為を繰り返していた。ただし、当時はコロナウイルスの流行があったため、自傷行為を始めた時期より後に撮影が行われることはなかったと思われる。5月14日にフジテレビによって「コスチューム事件その後」とタイトルを付けた3本の動画がYouTubeで公開され、同19日にコスチューム事件を収めた38話が地上波で放送される。木村花氏が最後にスターダム関連の仕事を行ったのは同19日(Youtubeの配信)で、同21日の時点でTwitter上に仄めかしの文章を投稿していた。同23日の午前未明に命を絶ち、数名の関係者が救急車に駆け付けた[26][27]

木村の死去は日本国外においてもBBC[28]ワシントン・ポストフォーブスで報じられ、繰り返し行われた誹謗中傷に関して抗議の声が上がっていることや、木村に対する哀悼の声などが伝えられた[29][30]。特に、Instagram上の木村花の公式アカウントでは、2020年当初から追悼コメントに外国人が作成したアカウントの方が割合が多い状態となっている。なお、木村花のInstagramおよびTwitter(X)アカウントは2024年現在も第三者によって削除されていないが、Instagramにおける限定公開のストーリー投稿(前述のリストカットの写真も含む)は閲覧することができない。

死去を受け、「テラスハウス」公式Twitterは5月25日に放送を予定していた39th Weekのテレビ放送と5月26日6月2日Netflixで配信予定だった43rd week、44th weekの配信を休止することを発表[31]5月27日に「TERRACE HOUSE TOKYO 2019―2020」の制作中止が発表された[32]。また、Netflixで木村が出演した回すべてが削除された。

放送・通信事業を所管する総務大臣高市早苗は5月26日の記者会見の中で木村が誹謗中傷を受けていたことに対して「匿名で人を中傷する行為は人として、卑怯で許し難い」と発言したうえで、匿名発信者の特定を容易にするなどの制度改正を含めた対応をスピード感を持って実施する意向を示した[33][34]

また同日、LINEやTwitterなどの運営会社が加盟するソーシャルメディア利用環境整備機構は緊急の声明を発表し、SNS上での嫌がらせや名誉毀損などを禁止事項として利用規約に明記し、こうした行為を把握した場合、利用停止などの措置を徹底するとした。法律に基づき情報を開示するよう求められた場合、適切な範囲で必要な情報を提供する。機構は特別委員会を設立して、さらに対策を検討するとしている[35]

その後、総務省法務省なども誹謗中傷の発信者の特定を容易にする制度や侮辱罪厳罰化などを検討し始め[36][37]、2022年6月に侮辱罪に懲役刑を導入したり、法定刑の上限を引き上げる改正刑法が可決・成立した[38]

2020年6月21日新木場1stRINGにて新型コロナウイルス感染症の流行以降約3ヶ月ぶりにスターダムの興行が行われ、試合前には追悼の10カウントゴングを鳴らし、リングサイドに並んだ所属選手が黙祷をささげた。 また、 選手がそれぞれの形で木村への追悼を表した。TCSの吏南は、木村のトレードマークであるガスマスクを着けて登場。木村の得意技であり、木村から教えてもらっていたというハイドレンジアで勝利した。小波は、目をつぶり、両手を合わせてからリングイン。ジャングル叫女は試合前にリング上で、まだ気持ちの整理がつかないため、出場予定だったこの日の試合を欠場すると説明した。木村のライバル、ジュリアは木村の動きにインスパイアされたランニングビッグブーツを繰り出した[39]

また、全米最大手団体のWWEでもカイリ・セインが「ありがとう花ちゃん」と書かれた傘を持って入場。サーシャ・バンクスも「HANA」と書かれた喪章を身につけて登場するなど追悼の意を見せた[40]。その後、サーシャ改めメルセデス・モネ新日本プロレスに参戦した際、木村花をオマージュしたコスチュームで登場した。

木村が死去してから1年となる2021年5月23日、後楽園ホールにて木村花メモリアルマッチ「またね」を開催。スターダム所属選手以外にも男女問わず多くの選手が参戦した[41][42]。その後も命日となる毎年5月23日には同様のメモリアルマッチが同地にて行われている[43]

事件以前の2019年9月、木村はフジテレビ「テラスハウス東京2019-2020」にて、メンバーとしてテラスハウスに新規入居した。その後、他の入居者も次々と入れ替わり、事件直前の入居者は新野俊幸や小林快、吉田夢など6名だった。ある日、同居者である新野の提案により、新野と吉田、小林と木村のカップル同士で京都旅行に行くことになった。その際、小林がほとんどお金を払わなかったことなどから木村は小林に対する不満が溜まっていた[44]

木村はプロレスの試合用コスチュームを洗濯していたが、洗濯機から取り出すのを忘れて出かけてしまい、その後小林が洗濯機にコスチュームが入っている事に気づかずに自分の洗濯物と一緒に洗濯と乾燥をしてしまった。乾燥を行ったコスチュームは縮んでしまい、着ることができなくなってしまった[45][46]

木村は小林を「一緒に住むんだったら人のこともっと考えて暮らせよ!限界だよ!自分のことしか考えて行動してないじゃん」、「自分はフラフラ過ごして分かんないよね、死にもの狂いで頑張ってお金稼いでいる人の気持ちなんて分かんないよね」、「一緒に生活する人を笑顔にできないやつがさ、これから先何百人のこと笑顔にできるわけ無いじゃん、舐めすぎだよ人のこと!」などと激しく叱責。その後木村は「ふざけた帽子被ってんじゃねぇよ!」と小林の帽子を投げ捨てて2階に上がっていった。木村が去った後、小林はコスチュームを弁償したいと語った[45][46]。スタジオメンバーも「重いわ…」、「どうしましょう?」、「こんな気持ちになるんだっけ…」と沈んでいた[45]

こうした木村花の発言と行動について、『約10万円するそのコスチュームは東京ドームの試合で着用するなど木村にとって『命の次に大事』なものであった』ためと、その動機を勝手に推測して主張するマスコミが多い。だが、後日、木村花が知人に送ったLINEには、「コスチュームの件はスタッフにめっちゃ煽られた。『いいじゃん、あんな奴、ビンタぐらいしたらいいじゃん』って。盛り上げなきゃと思ったけど、プロレスラーとしてビンタはさすがにできないから、苦しまぎれで帽子をはたいたの。」と書かれており、コスチュームの件について、木村花が本気で怒っていたかどうかには疑問がある。また、こうしたやらせに対して「こんな番組はフィクションに決まっているので、騙された視聴者が悪い」と、視聴者に責任転嫁をして、番組側の責任を否定する意見もあるが、同番組には、フィクションであるという但し書きはなく、脚本がないことを売り文句にし、本当の事のように誤解を与える演出を多用していた。また、フジテレビは、過去の同番組の出演者によっても、存在を裏付ける証言が多数あるやらせ・指示・強要さえ否定している[47][48][49][50]。上記は第38話「Case of The Costume Incident」として2020年3月31日にNetflixで配信[51]、5月18日にテレビ放映された。

翌日、小林は木村に改めて謝罪し弁償したい旨を伝えた。木村は「元には戻せないからしょうがない」とコスチューム代金はいらないと返答。その日に小林は明日テラスハウスから卒業することをメンバーに伝えた。スタジオメンバーである山里亮太はこの卒業劇に対して問題をすばやく鎮火させた小林に対しては残念がりつつも「素晴らしい消火活動」と称賛。木村に対しては「完全なる被害者みたいな感じで立ち居振る舞い続けるのもあんまり気持ちよくは見てないな」と意見した[52]

また山里は、この事件までは、木村花の行為を擁護することが多かったが、事件前のインタビューにおいて、同番組におけるネットでの感想について、「ネット上で噛み付くのをちょっと待ってほしい。もっと住民を褒めて、慰めて、応援して、あなたが正しいと言って泳がせて……熟成させて……最後の最後に調子に乗りまくって妄言をはきまくっている中で、僕と一緒に噛みついてほしい(笑)。」と語っている[53]

この山里や制作の暴走については、コスチューム事件が配信される前から指摘されており、芸能界屈指の“テラスハウスファン”を自称するニューヨークの屋敷裕政は、2月23日にYouTubeで配信された「ニューヨークのニューラジオ」内[54]で、「今まで山里の過激なコメントを中和させる役割を担っていた徳井義実が(自身の不祥事で)不在になったことで、山里のテラハメンバーへのイジりコメントが目立つようになってしまい、それに流されてスタジオメンバーも暴走している」と言及し、続けて「(テラハメンバーが)ボロクソに言われすぎて弱いものイジメっぽく見える瞬間もある。」「ボロクソ言わそうとして編集で(テラハメンバーが)悪く写るようにされている。」と番組の問題点を指摘、「このままだと本当にテラスハウスが終わってしまう」と危惧していた[55][56]

5月14日、事件の後日談がテラスハウスのYouTubeチャンネルで公開された[57][58][59]

後日談によればその後この事件に触れるものはおらず、ハウス内では無かったことになっている「もやもや」とした雰囲気だったという[57]。前述の通り木村はコスチューム代金はいらないと言っていたが吉田が聞いたところによれば木村は「いいよって言っても普通返すじゃん」と言っていたという。木村はこの件は100%小林が悪いと思っていると語った[58]。小林は木村からの電話に出ずLINEも未読無視だった。にもかかわらずInstagramのストーリーは更新していたり新野と飲みに行く約束をしていた。それに対し木村は前述の縮んでしまったコスチュームが着られなくなったため前のコスチュームを着なければならなくなった。この差に対して悔しくて怒っているし悲しいと涙ながらに語った[59]

2020年1月配信の第31話から木村に対するアンチは増え始めていたがこの事件により批判が激化。母親の響子のTwitterにも批判が波及するようになっていた[25][60]

母親の木村響子が、週刊文春の取材に応じ、テラスハウスの炎上シーンを巡って、木村がスタッフから指示を受けていたと証言した。木村のスマートフォンには、木村響子の証言通り、「やらせ」を裏付けるLINEのメッセージが多数残されていた。

木村が母や友人に語っていた「やらせ」は、「テラハに出た当初からプロレスラーらしく振舞えって……。1のことを100にして盛り上げて欲しいって言われて。コスチュームの件はスタッフにめっちゃ煽られた。『いいじゃん、あんな奴、ビンタぐらいしたらいいじゃん』って。盛り上げなきゃと思ったけど、プロレスラーとしてビンタはさすがにできないから、苦しまぎれで帽子をはたいたの。スタッフは信用できないよ」という内容であり、友人に送ったLINEでも、「自分の仕事道具壊されて、スタッフにカメラの前でキレろって言われて」と送信している。

木村響子は、「このままだと花の死が『暴力的な女子が男性に乱暴を働き、SNSの批判を苦にして自殺した』というストーリーで片付けられてしまう。真相は全然違うんです。彼女はスタッフの指示通り、ヒール役に徹しただけ。せめて花の名誉を回復してあげたい」としている[61]

7月3日までに、共演者の小林快が所属事務所を退所していたことも分かっている[62]。小林は週刊文春の取材に応じ、木村が死去する8日前(5月15日)にコスチューム事件について木村から電話で真相を明かされていたと証言した。「番組ADが僕に軽いノリで『トランポリンするだけじゃあ面白くないから』ってささやいてきた。それから『オッパイとか触ったら』と指示されたのです。『それは違うでしょ』と断ったけど、こういう無茶ぶりは日常茶飯事。スタッフが求めているのは恋愛とハプニング。そしてSNSでの炎上を狙っていた」と小林にもやらせの指示があったと話している[63]

小林は週刊文春発売後の7月10日にInstagramとブログを更新し、事件後の木村とのやり取りについて詳しく述べた。木村の死去2週間前に電話で話したという。それ以前から電話があったが、「でも電話をくれたあの時、正直自分は悩んでた、というよりかは病んでた。周りが見えなくなり、生きている人全員を疑うようなマインドセットになっちゃってた」ために木村は電話を取れなかった。コスチューム事件について木村から謝罪を受け、木村が放った言葉が本心からでは無かったことが分かったことが嬉しく、また二人で食事をしたり遊んだりしようとも話した。しかし、木村が誹謗中傷に傷ついて自傷行為を繰り返していることも知り、心を痛めていたと綴っている。「今は日本でもっとメンタルヘルスの鬱のケア、誹謗中傷問題などの大切さをわかってもらえることだと思った」「もう誰にも自分の状況と一緒になってほしくないのが、はなの一番の思いだと思う」とその思いを訴えている[64][65]

7月3日、フジテレビが定例会見で「フジの制作側がスケジュールや演出を含む撮影方針に従わせる誓約書を出演者側と交わしていた」ことを明らかにした。誓約書には「スケジュールや撮影方針(演出、編集を含む)に関して、全て指示・決定に従う」との項目があり、誓約内容に違反して制作に影響が出た場合『出演者側が1話分の制作費を最低額とする損害賠償を負う』内容も盛り込まれていた。これについてフジは「無理強いなどはない」「感情表現をねじ曲げるような指示はしていない」とし、「演出とは段取りなどのことで、スタッフの言うことを全て聞かなければならないということではない」と強調した[66]

しかしながら、東京スポーツ紙は、ある芸能プロ関係者の話として、「いくらスタッフの言うことをすべて聞かなくていいと言っても、損害賠償をチラつかせられれば、従わざるを得ず、事実上の無理強いと判断されても仕方がない。そもそも、番組の生みの親でチーフプロデューサーの太田大氏は『台本も指示も一切ない』と言っていたはず。番組側も演出なしをうたい文句にしていたのに、実際には撮影方針という名の演出があったならば、事実上のヤラセではないか」と論じて非難している[67]

2021年3月30日、BPOの放送人権委員会は木村の母親による「娘は番組の過剰な演出によって凶暴な女性のように描かれ、みずからの命を絶った」との申立てについて「放送を行う決定過程で出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で放送倫理上の問題があった」とする見解を公表した。その一方、人権侵害は認められないとしている[68]。同年4月3日放送のフジテレビの自己検証番組「週刊フジテレビ批評」で「ザ・ノンフィクション」「情熱大陸」を手がける元社員でドキュメンタリー監督の大島新は、「Netflixでの先行配信のあとSNS上で誹謗中傷を受けて花さんが自傷行為を行った。そのことを知った時点で放送は見送るべきだった」としてBPOの見解はフジテレビに甘かったと述べている。「制作側が場所をしつらえて撮影している。出演している方は制作側の意図や期待にこたえようとすると思う。ドラマのような台本がないにしても、そういう空気になっていって、より言動が過激になっていったりドラマチックになる傾向がある。それによってSNSも白熱してしまう」とリアリティ番組の構造の危うさにも言及している[69]

母親の木村響子は、2021年3月30日の記者会見でインターネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害などの根絶を目指すNPO法人「Remember HANA(リメンバー ハナ)」の設立を発表し、「法律改正なども少しずつ進んでいますが、その中でもSNSでは毎日のようにネットリンチが行われているような状態で、全然景色が変わっていない。何をしても花が帰ってくるわけではないんですけど、せめて花のために何かできることがあるのではないか、(誹謗中傷の)加害者も被害者も減らすためにできることがあるのではないかと思った」と設立の理由を語った。代表理事となる予定であるという。活動内容としては、全国の小中学校、高校、大学などでSNSの利用方法について授業をしたり、インターネット上の誹謗中傷をなくすための法改正の働きかけや、相談窓口の周知に向けた活動などをしていくという[70]

母親の木村響子は、木村への誹謗中傷をした投稿者のうち、特に悪質なツイートを行った者についてツイッター社などに投稿者の情報開示を請求している[71][72]。しかしアメリカには侮辱罪に当たる概念がないため、ツイッター社は日本の警察の捜査には非協力的であったという[73]

侮辱罪での公訴時効は1年である[74]。2021年3月30日、東京区検は大阪府の男性を略式起訴した[75]。木村響子はこの人物が反省して謝罪の連絡をしてきたこともあり、告訴するかどうかを思い悩んだとnoteに綴っている。しかし、形として罪を償ってほしいため、このようなかたちになったという。なお、この人物については民事で損害賠償請求を行うことはしないとしている[76]

4月5日、警視庁は福井県の男性を悪質な書き込みを繰り返したとして書類送検した。任意の調べに対し容疑を認め、「申し訳ないことをした」などと話しているという[77]。木村響子は「悪質なアカウントの全てではないのが残念ですが、時効が迫る中で動いてくださった各機関の皆様には感謝いたします。無責任な書き込みで追いつめられてしまうことがないよう、SNS事業者の協力、そして長期間にわたりログを保存する必要性を痛感しています」とコメントを出した。

2件とも東京簡裁科料9,000円の略式命令を出した。侮辱罪の法定刑は30日未満の拘留または1万円未満の科料で軽犯罪法違反と同じであるため、捜査関係者からも「時代に合っていない。匿名の中傷は罰則強化が必要だ」との声が上がっている[78]

この件を受けて2022年7月7日に改正刑法が施行され、侮辱罪の法定刑に「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」が加えられ、公訴時効は1年から3年に延長された[79]

投稿者を特定して賠償を訴える訴訟としては初めてとなる裁判の第1回口頭弁論が、2021年3月22日に東京地方裁判所で行われた。木村が死去した後もTwitterに「あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう」「お前の自殺のせいで(番組が)中止。最後まで迷惑かけて何様?地獄に落ちなよ」などと投稿し遺族の心情を傷つけたとして長野県の男性に対し約294万円の損害賠償を求めるもので、被告側は答弁書を提出せず出席もしなかった[80]。弁論後に木村響子は東京都内で記者会見を行い、「花の死後もネット上では誹謗中傷が繰り返されており、抑止力になればと思った」と提訴の理由を説明した[81]。「裁判ですら来ない、連絡すらないということで、私の理解を超えた。自分の犯した罪からは絶対に逃げきれない。花に対してしたこと、本当に向き合って考えて欲しいです」と欠席した被告について話している[82]

フラクタル法律事務所代表の弁護士・田村勇人は「出廷してマスコミにさらされて匿名性を暴かれるより294万円払った方が良い」と被告側が判断したと見て、今後は同種の裁判での慰謝料増額によりこのような戦略が許されない方向への変化を望むとコメントしている[83]。また明星大学准教授で臨床心理士藤井靖は「大きな悲しみの中で、さらなる負担を引き受けてこのような行動を取られていることに、頭の下がる思いだ」と母親について話し、「加害者の多くは何の気なしに『これぐらい言ってもいいでしょ』と思って書いているし、『言われて当たり前』と考えている人もいる。一方で、被害者が受ける気持ちのインパクトは、加害者が思っている何倍ものダメージになることがほとんど。加害者の男性が裁判に来ていないということは、被害者に対する想像力、労る気持ちがないことと同義だろう。賠償はお金の問題だが、被害者の気持ちを理解する姿勢や意志がないようにみえるのは大きな問題だ」と欠席した加害者の責任意識の欠如を指摘している[84]

5月19日、東京地裁は被告の男性に対し「原告の主張する請求原因を自白したものとみなす」として129万2000円の支払いを命じる判決を出した[85][86][87]。内訳は遺族に生じた精神的苦痛に対する慰謝料50万円、弁護士費用5万円、Twitter社などに対する開示請求訴訟で要した74万2000円であるという。被告は出廷・答弁書の提出もせず、4月21日に結審していた[88]。原告の木村響子は都内で会見し、「自分の主張が正しいと思い、ゆがんだ正義感で批判という名の中傷をしてしまっている人が多い。判例を残すことで、批判と中傷の境目を分かりやすくしたい」と語った。他の複数の中傷投稿についても情報開示や損害賠償請求の手続きを進めているが、投稿者を特定する段階であり、また現在の木村響子に対して「(花さんを)助けられなくて親失格だ」「娘の名前で金もうけをしている」などと中傷する投稿は絶えないといい[89]、2021年9月には木村響子を中傷したとして東京都内の40代男性が侮辱容疑で書類送検されており、2022年4月には別の東京都内の40代男性が名誉毀損容疑で書類送検されている[90]

2021年9月15日、侮辱罪で略式命令を受けた福井県の男性が8月5日付で提訴されていたことが報じられた[91]

2022年12月6日、テラスハウスの制作会社であるフジテレビE&Wイースト・ファクトリーの3社を相手取り、出演者の心身の配慮や誹謗中傷への対策を怠ったとして約1億4200万円の損害賠償を提訴した。訴状ではスタジオキャストが、木村花に対して否定的な言動を繰り返して炎上を煽っていた構造も問題視した[92]

2023年6月22日、木村響子がツイッターに木村を中傷する投稿をしたとして、2021年8月に大阪府内の女性ら一家4人に対し損害賠償を求める裁判を起こした際、証拠とした画像が捏造とみられるものであったことが訴えられた女性側の代理人弁護士の調べで判明し、女性側から「捏造された画像に基づいて不当に提訴された」として880万円の損害賠償を請求される反訴をされていたことが読売新聞によって報じられた[93]。報道によると、木村響子側は投稿画像を基に東京地裁に投稿者開示請求を行いIPアドレスの開示を受け、更にプロバイダー側に氏名や住所の開示を請求した上で女性ら一家が投稿者であると断定し訴訟に踏み切った[93]。しかし女性側はこれを否定し代理人弁護士が調べたところ、画像には通常表示される投稿日時が無かった上、投降したアカウントは非公開で僅か2回しか投稿していないこと(一般的に著名人の誹謗中傷を行う投稿者は積極的な情報発信を行う傾向にある)ことから、女性側は画像は捏造されたものであると主張[93]。木村響子側は代理人弁護士と協議の上、訴訟を取り下げ弁護士費用を負担する意向を示したが、条件が折り合わなかったという[93]。木村響子の代理人弁護士は「中傷の投稿はすぐにツイッターから消去されることが多く、ネット上で誰かが保存した画像を証拠とするしかなかった」と話した一方、女性側は「提訴された当初は家族の中で誰が投稿したのかと疑わざるを得なかった。平穏な生活を送る権利を侵害された」と訴えている[93]。読売新聞によるとネットでSNS投稿を捏造する事例は相次いでおり、他人のSNS画面で不適切な内容を投稿したかのように文章を書き換え画像を捏造するのは難しくなく、作り方を指南するサイトもあるといい、画像から捏造した人物を特定するのは困難だとされている[93]。ITジャーナリストの三上洋は「ネット上の情報や画像を安易に信用せず、元の投稿が本当に存在するかどうか慎重に見極め、虚偽情報の拡散に加担しないよう注意してほしい」と指摘し、対策について「悪質な捏造やなりすましには、警察が積極的に捜査して厳重に処罰することが必要。問題のあるアカウントに対し、SNS事業者が使用を停止する対策の強化も効果的だ」としている[93]