ブライトバート・ニュース・ネットワーク


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ブライトバート・ニュース・ネットワーク英語: Breitbart News Network)は、アメリカ合衆国のオンラインニュースサイトで、ラジオ放送(Breitbart News Daily)も行っている。単にブライトバートBreitbart)などとも呼ばれる。本社所在地はカリフォルニア州ロサンゼルス[2]

ブライトバート・ニュース・ネットワーク
Breitbart News Network
URL www.breitbart.com
言語 英語
タイプ 政治保守極右
設立者 アンドリュー・ブライトバート
編集者 アレクサンダー・マーロウ[1]
営利性 営利企業
開始 2005年(Breitbart.com)
2007年(Breitbart.tv)

政治的傾向は極右である[3]ニューヨーク・タイムズは同サイトを、虚偽報道女性嫌悪人種差別に満ちたサイトと評している[4]。また、真偽の定かでないデマ陰謀論、および意図的に誤解を招く記事も一部発信し[5]白人至上主義反移民に関する話題を掲載し、オルタナ右翼の代表的なメディアとされ、トランプ大統領の当選に大きな役割を果たした[6]

アレクサ・インターネットによれば、2014年の時点で世界の報道機関カテゴリーの中で上位50位に入るほどの規模となっている[7]

 
アンドリュー・ブライトバート

創業者でユダヤ系アメリカ人[8][9]アンドリュー・ブライトバート英語版によれば、彼がイスラエル滞在中に共同創業者となるラリー・ソロフとともに「既存のメディアは反イスラエル的すぎる」として「自由で親イスラエルなニュースサイト」を構想したことから始まった[10]。アンドリューはリバタリアンに共感する「レーガン的保守主義者」で[11]ドラッジ・レポートの右腕的な存在だった[12]。アンドリューはアイデアマンであり、超党派的だった初期のハフポストでも働いており様々な助言をしたが、自身の思想と合わないため、袂を分かった[12]

2005年、アンドリュー・ブライトバートはニュースサイト「breitbart.com」を立ち上げた。このサイトはAP通信ロイターAFPFOXニュースPR Newswire英語版など通信社や主要な全国紙の記事のリンクを集めた物で[13]、リンクのうち特にドラッジ・レポートからのリンクは論争を呼び、初期の成長につながった。2007年には各社のビデオを集めたビデオ・ブログ「Breitbart.tv」を立ち上げ[13]WTAEニュース英語版のアンカーだった右派のスティーブン・バノンを雇い入れた。その後アンドリュー・ブライトバートがワシントン・タイムズで連載していたコラムを元に「BIG HOLLYWOOD」(2008年)が作られ[14]、「BIG GOVERNMENT」(2009年9月)[15]や「BIG JOURNALISM」(2010年1月)[15]などのブログメディアが続いた。当時のブライトバートはハフポストの右翼版を目指しており[16]アンソニー・ウェイナーの性的な醜聞英語版シャーリー・シャーロッドの白人差別発言英語版即時改革のためのコミュニティ組織の協会ACORONの隠しビデオ論争英語版などの独占記事を掲載した。

2012年3月、2012年アメリカ合衆国大統領選挙の最中に創業者のアンドリューが亡くなった[17]。アンドリューは亡くなる前にウェブサイトをリンク収集型のニュース・アグリゲーターからタブロイド風に変更することを計画しており[18]、死後すぐに再編が行われた[16]

2014年2月、会長のスティーブン・バノンは12人ほどの職員を増員し、テキサスとロンドンに地方局を開設すると発表した。この発表は事業拡大の第一歩であり、フロリダカリフォルニアカイロエルサレムなどに事業を拡大していく計画だった[19]。2014年のピュー研究所の調査によると、回答者の3%がブライトバートを閲覧しており、そのうちの79%の政治的価値観は中道右派だった[20]。ブライトバートは営利企業であり、社員ですら「非公開会社なので所有者や背後関係は分からない」[21]。しかし他社の報道によるとアンドリュー・ブライトバートの死後に後継者争いがあり[18]、2015年現在の 出資者は計算機科学者でヘッジファンドCEOのロバート・マーサーだと言われている[22]

他社の報道によると、2016年アメリカ合衆国大統領選挙ではドナルド・トランプから現金を供与され好意的な報道を行っていると言われるが[要出典]、ブライトバートは否定している[23]。2016年8月、スティーブン・バノンがトランプ陣営の選挙対策本部の最高責任者に就任[24]。2017年1月にトランプ大統領就任後は、新設ポストの大統領首席戦略官と上級顧問に指名されたが、いずれも同年8月に辞任し、重役として復職した。

デジタルヘイト対策センター英語版の調査によると、ブライトバートはFacebookにおいて気候変動否定を推進する最も影響力のあるメディアであることが判明している[25][26]

英語版ウィキペディアにおける出典への使用禁止

編集

英語版ウィキペディアでは、2018年9月2日に「ブライトバートは信頼できないニュースサイトであり、Wikipediaの情報ソースとしてふさわしくない」として議論が立ち上げられ、投票の結果、出典としての使用が禁止された[27][28]

  1. ^ Byers, Dylan (2013年10月17日). “Breitbart News shakes up masthead”. ポリティコ 2024年8月17日閲覧。
  2. ^ Meet the BreitbartsD. Weigel, Slate, 21 Mar 2012
  3. ^ * Weigel, David (November 14, 2016). “Is Trump's new chief strategist a racist? Critics say so.”. The Washington Post. オリジナルのDecember 22, 2016時点におけるアーカイブ。 December 3, 2016閲覧。
  4. ^ Victor, Daniel; Stack, Liam (2016年11月15日). “Stephen Bannon and Breitbart News, in Their Words”. ニューヨーク・タイムズ
  5. ^ What is the alt-right? A refresher course on Steve Bannon’s fringe brand of conservatism”. Los Angeles Times. 2016年11月15日閲覧。
  6. ^ 「偽ニュースサイト」が欧米を席巻 「小遣い稼ぎ」の投稿が政治を動かす”. 週刊エコノミスト (2017年1月17日). 2020年1月18日閲覧。
  7. ^ Breitbart News Network Plans Global Expansion L. Kaufman, The New York Times, 16 Feb 2014
  8. ^ Christopher Beam. “Big Breitbart: Andrew Breitbart is messing with you”. Slate Magazine. オリジナルの2024年4月19日時点におけるアーカイブ。 2024年8月17日閲覧。
  9. ^ Taranto, James (2009年10月16日). “Taking On the 'Democrat-Media Complex'”. ウォール・ストリート・ジャーナル. オリジナルの2023年10月13日時点におけるアーカイブ。 2024年8月17日閲覧。
  10. ^ “Breitbart News Network: Born In The USA, Conceived In Israel”. Breitbart News Network. (2015年11月17日) 2016年11月14日閲覧。
  11. ^ Andrew Breitbart, Breitbart.com Publisher Archived 2012年10月2日, at the Wayback Machine. C-SPAN, October 22, 2009. Breitbart referred to the "Democrat-media complex" several times...
  12. ^ a b How Andrew Breitbart Helped Launch Huffington Post”. バズフィード・ニュース (2012年3月2日). 2024年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  13. ^ a b Owen, Rob. The next wave: Ex-WTAE anchor Scott Baker changes channel to run Web news site, Post-Gazette
  14. ^ Hollywood Infidel”. The New York Observer (2007年3月16日). 2008年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月1日閲覧。
  15. ^ a b Hall, Colby (December 10, 2009). “Exclusive Interview: Andrew Breitbart Announces Launch of New "Big" Sites”. Mediaite August 17, 2015閲覧。
  16. ^ a b Rainey, James (2012年8月1日). “Breitbart.com sets sights on ruling the conservative conversation”. ロサンゼルス・タイムズ 2024年8月17日閲覧. "Just three days later, with the blessing of Breitbart's widow, Susie, they launched a redesigned Breitbart.com website."
  17. ^ Weigel, David (March 21, 2012). “Meet the Breitbarts” (英語). Slate. ISSN 1091-2339 2024年8月17日閲覧。
  18. ^ a b Coppins, McKay (2012年10月23日). “Breitbart's Inheritors Battle Over His Legacy”. バズフィード 2024年8月17日閲覧。
  19. ^ Kaufman, Leslie (2014年2月17日). “Breitbart News Network Plans Global Expansion”. ニューヨーク・タイムズ 2024年8月17日閲覧。
  20. ^ Tan, Sovini (2012年3月8日). “Breitbart Remembered Fondly by Most on Social Media”. ピュー研究所. 2024年8月17日閲覧。
  21. ^ Gold, Hadas; Glueck, Katie; Vogel, Kenneth (2015年7月10日). “The Daily Cruz”. ポリティコ 2024年8月17日閲覧。
  22. ^ Byers, Dylan (2015年4月13日). “Hedge-fund magnate backing Cruz is major investor in Breitbart News Network”. ポリティコ 2024年8月17日閲覧。
  23. ^ Coppins, McKay (2015年8月10日). “Breitbart Staffers Believe Trump Has Given Money To Site For Favorable Coverage”. バズフィード・ニュース. オリジナルの2024年7月17日時点におけるアーカイブ。 2024年8月17日閲覧。
  24. ^ Christina Wilkie (2016年8月18日). “ドナルド・トランプ氏、「最も危険な政治フィクサー」起用で過激路線復活か”. ハフポスト. 2016年8月19日閲覧。
  25. ^ Porterfield, Carlie (2021年11月2日). “Breitbart Leads Climate Change Misinformation On Facebook, Study Says”. フォーブス 2024年8月17日閲覧。
  26. ^ Paul, Kari (2021年11月2日). “‘Super polluters’: the top 10 publishers denying the climate crisis on Facebook”. ガーディアン 2024年8月17日閲覧。
  27. ^ Benjakob, Omer (2020年1月9日). “Why Wikipedia Is Much More Effective Than Facebook at Fighting Fake News”. ハアレツ 2024年8月17日閲覧。
  28. ^ 議論のアーカイブ:w:Wikipedia:Reliable sources/Noticeboard/Archive 248#RfC: Breitbart